せいしんのタマシイ

俺の頭の中

指輪物語(嘘)を若者たちに観てほしい

皆さん「ラブ&ポップ」っていう映画知ってますか?

小説が原作で、監督は庵野秀明(みなさん「シン・仮面ライダー」観ました?)、女子高生が主人公です

私はこの映画を「庵野監督の作品だから」という簡単な理由で観ました。特撮とかアニメとかを撮る人が、普通の実写映画を撮ったものがどんなものかも少し気になっていました

そんな軽い気持ちで観た映画に、私は心を掴まれて、握りつぶされて、ぐしゃぐしゃにされました

主人公は、友達と一緒に水着を買いに行って、そのデパートで見た指輪が欲しくて援助交際に走ります。宝石店の閉店までに目的の金を稼げるか、それがこの映画における主人公が達成するべきミッションなわけです

元々主人公やその友達は、興味本位でテレクラに電話したり、自分の作った料理でパーティするためだけに援交めいたことをする男について行ったり、(あくなで相対的にみて)「優等生」である私からしたら呆れてしまうような、危機感や倫理感に欠けている人でした。それでもテレクラで知り合った男との待ち合わせをすっぽかしたり、主人公は自分の中で一線を引いているような人物でもありました

そんな彼女が、指輪を買う金欲しさに最初は友達と一緒に「女子高生が噛み砕いたマスカットを収集してるおじさん」と一緒にカラオケに行ったのをきっかけに、「一線」に足をかけます

友達が「若い男と繋がりたいおじさん」に借りた携帯を使って男を探して「稼ぐ」わけですが、最初の相手がなかなかなんですよね(まあ電話で女子高生と知り合おうとする男なんてみんな「なかなか」なんですが)。病気や夜型の生活のせいで人に嫌われているので、主人公と恋人みたいにレンタルビデオ店でビデオを選びたい(要するに見栄を張って見返してやりたい)という人なんです。それだけなら…と主人公はついていくんですが、彼は一目散にアダルトビデオのコーナーに行き、あろうことか主人公の手を自分のズボンに突っ込ませて「最低だ…俺って…」するんですよ

この感じ、この、「舐めてかかったらとんでもなく痛い目を見る」感じを主人公と同じく私も感じたんですよ

この「レンタルビデオおじさん」を初めて知った時、主人公は、「一緒に歩くだけで稼げるなんて楽勝じゃん」みたいなこと考えてたと思うんですよ

私もね、「庵野監督作品ってだけで観てるだけだし、さらっと観るか」って気持ちで観てたので、多分考え方はこの主人公と同じだと思います

それがね、多分一生を変えるレベルの衝撃をもたらすことになったんですよ

主人公にとっての衝撃は多分「レンタルビデオおじさん」なんですが、私の場合は「ぬいぐるみおじさん」でした

「ぬいぐるみおじさん」はただ一緒にホテルに行くだけでお金をくれるというおいしい人

ただちょっと特殊なところがあって、キャプテン??として、???のぬいぐるみをいつも持っていて、話したりしているのです

主人公はそんな彼と楽しく話したりして、???のぬいぐるみが壊れたときも直したりしていたんですが、主人公がお風呂に入ったときに流れが変わります

キャプテン??が突然お風呂に入ってきて、主人公を襲おうとしますが、話すのが楽しかったり、ぬいぐるみのことを治したりしたことから見逃されます

そのときのキャプテン??の台詞がね、クるんですよ

いろいろ言ってたので要約しますと、

「おまえのことを大切に思ってる人もいるんだからこんなことしてんな」

みたいなこと言ってるんですよ

で、でた~~~!!!!!

風俗嬢に説教するおっさんだ~~~~!!!!

でもなんか私の中にひっかかったんですよね、この台詞が

結局このおじさんは最初の約束通りのお金をくれることはなく、そのせいで指輪を買うことはかないませんでした

今までしてきたことがなんにもならず、むなしい気持ちで家に帰ってきたらそれを待っていたのは両親

何も知らない両親でした

何度鞄をひっくり返しても指輪はなく、映画の最後は主人公の独白で終わります

それによると、周りの友達がどんどん大人になっていく感じがしたと

だから自分も何かして大人にならなきゃいけない気持ちになったと

私これを見た当時高校生(ていうか高校生と大学生の間)

なんか自分の裸を見られたような気持ちになったんですよ

確かに当時の私には大人になろうと焦る気持ちがありました

でもやっぱり私にも家族がいて、大切にしてくれる人がいました

だからあんまり馬鹿なことはやらなかったんですけど、そんなことで大人になれるのか

馬鹿なことをやらずに大人になんてなれるのか

正解ばかり選んでちゃんと大人やれるのか

めっちゃ考えちゃったんですよね

多分10代の時にこんなこと考えたってことは一生自分の中に残るし、こんなこと考えたやつとして生きていくんですけど、

なんかね!

どうもね!

誰かに観てほしい作品ではあるんですよね

そして一生レベルでとんでもない呪いを受けてほしい

すべての大人になろうとする人へ

観てください